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Research Center for World Buddhist Cultures

世界仏教文化研究センター

活動内容

【2018年8月22日(水)】国際シンポジウム「写本時代のシルクロード」

開催日時
2018年8月22日(水)9:00~18:00
開催場所
龍谷大学 大宮学舎 西黌2階 大会議室
講演者

【開催報告】

概要

龍谷大学と中国・旅順博物館(館長・王振芬氏)は、いずれも大谷探検隊に関するコレクションを所蔵する機関であり、1992年以来進めてきた研究交流を基に、昨年6月に恒久的な学術友好協定を締結した。また現在、北京大学の榮新江教授をはじめとする共同研究者の間でも、中央アジア出土資料を基にした研究が進められつつある。今回は、日本と中国の著名研究者、若手研究者が一堂に会し、シルクロードにおける写本の伝播・歴史・仏教・文芸に関する最新研究の発表を行った。当日は、多くの聴講者が来場し、質疑応答も活発に行われた。そのような点からも、改めてシルクロード研究に対する一般の方々の関心の高さを実感するシンポジウムでもあった。

 

会場の様子

 

王振芬氏(旅順博物館館長)

 

榮新江氏(北京大学教授)

 

発表の様子

 

発表の様子

 

講演録

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〈第1部〉シルクロード・写本・伝播

 

榮新江(北京大学教授)

写本の路としてのシルクロード 

唐代における「過所」という通行証の発行・審査等の関連史料をはじめとして、求法僧による巡礼記録や詩文、ソグド語・ヘブライ語・漢文等で記された手紙などを含めて、シルクロードで出土した様々な写本資料を説明し、唐代の行政管理を中心として、シルクロードをめぐる歴史・文化に関する研究成果を紹介した。

 

王振芬(旅順博物館館長)

大谷文庫の流伝情況に関する新発見

大谷光瑞師に由来する「大谷文庫」について、これまでは、散逸したもの以外、すべてが中国大連図書館に所蔵されていると考えられていたが、実は、旅順博物館と旅順図書館にも所蔵がある。王氏は、「大谷文庫」の内容・形態などを記した初期情報を紹介した上で、当時の史資料を踏まえ、諸関連機関の現存資料中の疑似品に対し、蔵書印を含む内容・形態の比較対照を行い、「大谷文庫」の実情と流伝経緯を明らかにした。

 

朱玉麒(北京大学教授)

トゥルファン文書中の北館厨牒の流伝及び初期研究史

「北館厨牒」または「北館文書」と呼ばれている唐代文書の出土や日本流伝の経緯などをめぐって、関連する史料と早期研究をまとめた上で、新たな発見を提示した。当文書は現在36点の断片が発見されており、龍谷大学・東京都台東区立書道博物館・千葉県国立歴史民俗博物館の三箇所に分蔵されている。龍谷大学の所蔵分は第二次大谷探検隊によって直接に日本に将来したのだが、後二者の所蔵分はもともと清朝の官員のコレクションであった。しかし、諸経緯で日本に伝来され、転々としたのである。朱氏は更に、現在の研究にも大きな影響を与えている初期研究者の、王樹枬・段永恩・中村不折・金祖同などの業績も紹介した。

 

 

 

〈第2部〉シルクロード・写本・歴史

 

孟憲實(中国人民大学教授)

敦煌・トゥルファン出土の「王言」について

「王言」というのは中国古代の最高統治者による最高指令であり、書式まで厳しく管理されている。法律規定の「格式きゃくしき」に従っていないものは認められないだけでなく、書式の変更・改竄はもとより、脱落・誤字などの書写ミスに対する刑罰もある。また、「王言」は基本的に臨時性の政令だが、長期化され「格後勅」に改められたケースもある。

 

劉子凡(中国社会科学院副研究員)

シルクロードにおける弓月城と弓月道

劉氏は、唐代において、西域に存在していた弓月城と弓月道について、先行研究を踏まえ、シルクロード出土の写本史料の分析を行い、弓月城の政治・経済・軍事等の面における重要位置を論じた。特に、胡族商人曹炎延の失踪事件の事情聴取記録を手掛かりにして、弓月城の具体的な位置とその時代的変遷について推論した。

 

 

 

 

〈第3部〉シルクロード・写本・仏教

 

三谷真澄(龍谷大学教授)

中央アジア出土漢字仏典断片目録について

三谷氏は、世界諸関連機構に分蔵されている中央アジア出土の漢字仏典断片について、その目録を作成し直す研究活動の目的・経緯および現段階の最新成果の『大谷隊ドイツ隊収集漢字仏典断片目録』(龍谷大学世界仏教文化研究センター、仏教文化研究所「西域文化研究会」、古典籍デジタルアーカイブ研究センター、非売品)を紹介した。特に時代判定基準の修正と諸機構所蔵史料の整理番号の再編成は今後の共同研究に対して、役割が重要であろう。

 

宋成春(旅順博物館学芸員)

旅順博物館所蔵仏典断片に関する調査と分析

宋氏は、旅順博物館における、紙本史料に対する物理的・化学的調査方法を紹介した上で、旅順博物館所蔵の仏典断片の調査結果を例として、紙質調査(使用原料、製紙法などの判明)が史料分析、特に時代判定における補佐的役割を果たすことを述べた。

 

史睿(北京大学古代史研究センター副センター長)

シルクロード出土写経の書体による年代判定の研究

史氏は、空海の関連著書と、世界中に現存している、人が筆で書写する場面が描かれた絵等の資料を通して、各時代に使われていた筆の形や筆の持ち方などが書体に与える影響を論じた。その上で、シルクロード出土の写経の書体による年代判定をめぐる研究成果を紹介した。発表では、特に、旅順博物館所蔵の写経断片と碑文等が実例として紹介された。

 

〈第4部〉シルクロード・写本・文芸

 

游自勇(首都師範大学教授)

シルクロードにおける『百怪圖』

游氏は、『百怪圖』という散逸した中国古代の妖怪志をめぐって、シルクロード出土の『白澤精怪圖』『百怪圖』断片や占いに関する記述、日本に伝来した白澤図像などとを関連させ、『百怪圖』の悪妖怪退治マニュアルとしての性格と文化交流に対する重要性を指摘した。

 

段真子(中国人民大学学芸員)

中国国家図書館蔵写本『八相變』三点の関係について

段氏は、中国国家図書館に所蔵されている『八相變』写本三点について、文言の違いや相違箇所の書体の比較・分析を行った。特に、『敦煌變文集』『敦煌變文校注』の底本であるBD3024は、校合用甲巻BD8191と乙巻BD4040に先行し、乙巻は甲巻より先であった。

 

岸田悠里(龍谷大学文学研究科仏教学専攻研究生、博士後期課程修了)

敦煌莫高窟と「仏母下天」

岸田氏は、敦煌文献中の『仏母経』・「仏母讃」写本に見える「仏母下天」話と莫高窟にある関連壁画を考察した。さらに、当該壁画のある石窟においては、かつて『仏母経』または「仏母讃」を用いた仏教儀礼が行われていた可能性が極めて高いと指摘した。 

 

 

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国際シンポジウム

写本時代のシルクロード

 

2018年8月22日(水)9:00~18:00

龍谷大学 大宮学舎 西黌2階 大会議室

 ※ 通訳あり 申込不要 ※

 

 プ ロ グ ラ ム

〈開 会 式〉 (9:00~9:30)

趣旨説明 三谷 真澄(龍谷大学 国際学部長、世界仏教文化研究センター西域総合研究班長)

学長挨拶 入澤  崇(龍谷大学 学長)

 

〈第 1 部〉シルクロード・写本・伝播 (9:30~11:00)

発 表 1  榮 新江(北京大学 教授)

写本の路としてのシルクロード

発 表 2  王 振芬 (旅順博物館 館長)

大谷文庫の流伝情況に関する新発見

発 表 3  朱 玉麒(北京大学 教授)

トゥルファン文書中の北館厨牒の流伝及び初期研究史

 

〈第 2 部〉シルクロード・写本・歴史 (11:10~12:10)

発 表 1  孟 憲實(中国人民大学 教授)

敦煌・トゥルファン出土の「王言」について

発 表 2  劉 子凡(中国社会科学院 副研究員)

シルクロードにおける弓月城と弓月道

 

 〈第 3 部〉シルクロード・写本・仏教 (13:00~14:30)

発 表 1  三谷 真澄(龍谷大学 教授)

中央アジア出土漢字仏典断片目録について

発 表 2  宋 成春(旅順博物館 学芸員)

旅順博物館所蔵仏典断片に関する調査と分析

発 表 3  史  睿(北京大学 古代史研究センター副センター長)

シルクロード出土写経の書体による年代判定の研究

 

〈第 4 部〉シルクロード・写本・文芸 (14:40~16:10)

発 表 1  游 自勇(首都師範大学 教授)

シルクロードにおける『百怪圖』

発 表 2  段 真子(中国人民大学 学芸員)

中国国家図書館蔵写本『八相變』三点の関係について

発 表 3  岸田 悠里(龍谷大学 文学研究科仏教学専攻研究生、博士後期課程修了)

敦煌莫高窟と「仏母下天」

〈質疑応答〉   (16:30~17:30)

〈閉  会  式〉   (17:30~18:00)

センター長挨拶 久松 英二(龍谷大学 国際学部教授、世界仏教文化研究センター長 )

閉 会 挨 拶 三谷 真澄(龍谷大学 国際学部長、世界仏教文化研究センター西域総合研究班長 )

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〔司 会〕

三谷 真澄(龍谷大学 国際学部長、世界仏教文化研究センター西域総合研究班長 )

〔通 訳〕

李 曼寧(龍谷大学 世界仏教文化研究センター嘱託研究員、同センターRA)

魏  藝(龍谷大学 アジア仏教文化研究センターRA、同大学文学研究科仏教学専攻博士後期課程)

韋  傑(龍谷大学 国際文化学研究科国際文化学専攻博士後期課程)

 

主催
龍谷大学 世界仏教文化研究センター(RCWBC)西域総合研究班、龍谷大学 アジア仏教文化研究センター(BARC)「大谷光瑞師」班
ポスター
国際シンポジウム「写本時代のシルクロード」ポスターPDF