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Research Center for World Buddhist Cultures

世界仏教文化研究センター

活動内容

【2019年5月22日(水)】学術講演会「A Window into Sino-Tibetan Pure Land Practices at Duhuang」が開催されました

開催日時
2019年5月22日(水)13:15~14:45
開催場所
龍谷大学 大宮学舎 西黌2階 大会議室
講演者

【開催報告】

2019522()、龍谷大学世界仏教文化研究センター(RCWBC)とアジア仏教文化研究センター(BARC)、龍谷学会の共催で、Johnathan Silk氏(オランダ・ライデン大学教授)による学術講演会「A Window into Sino-Tibetan Pure Land Practices at Dunhuang」が開催され、国内外の研究者や学生、一般参加者らが共に学びを深めた。

 

<Johnathan Silk博士>      <会場の様子>

 

 Silk氏は、敦煌写本中に見られるチベット文字表記の実例を取り上げ、テキストの内容把握と併せて言語学的・書誌学的分析を加えることで、中国浄土教的な信仰や実践がどのようにチベット語圏へ受容されたかについて紹介した。

 

(1) チベット語と漢文併記の仏典リスト

 フランス国立図書館所蔵の敦煌写本Pt 1257は、敦煌寺院所蔵の仏典を記録したものであると考えられ、チベット語と漢文を対照させる形で仏教経典名が記されている。そして、当該写本には、チベット語名のみで、対応する漢文名が書かれていないものも散見されることから、チベット語で仏典名が記された後に、漢文が付け加えられたことがわかる。Silk氏は、この写本テキストは翻訳する際に辞書代わりに使われたものであろうと推測した。

 

(2) 漢文蔵訳仏典

 大英図書館所蔵の敦煌写本IOL Tib J 724は一見チベット訳仏典に見えるが、「阿弥陀仏」を記述する際には古代中国語発音の音写「a mye da phur」が採用されている。Silk氏はこの発見を手掛かりとして、当該写本の中国語訳を試みた結果、その内容が窺基撰『阿彌陀經通賛疏』と一致することを明らかにした。そして、当該テキストは仏典のチベット訳であるものの、「阿弥陀仏」という語がわざわざ中国語の発音で記されたことに対し、Silk氏は、このテキストは実際には勤行時に唱えられたものであろうと推測し、この中国語発音での念仏は敦煌におけるチベット語での中国風仏教実践の一つであろうと指摘した。

 Silk氏はさらに、敦煌に存在したと考えられる漢文蔵訳経典をリスト化して提示した(同氏が『創価大学国際仏教高等研究所年報』平成30年度、第22号に掲載した論文に詳細収録)。漢文テキストからチベット訳を作る理由について、当時、対象経典のサンスクリット語テキストが入手できなかった、またはサンスクリット語テキストからのチベット訳が開始されていなかったなどの可能性が言及された。さらに、Silk氏はリストアップされた経典のなかに、菩提流支編『大宝積経』所収の漢訳経典から蔵訳したものが多数存在することに着目し、漢地で広く広がらなかった漢訳伝本が敦煌に伝えられ、チベット語に訳されたことは意味深いと指摘した。

 

  (3) 『阿弥陀経』漢文テキストのチベット文字転写

 大英図書館所蔵のIOL Tib J 14051410は、『阿弥陀経』漢文テキストのチベット文字による転写である。Silk氏は、当該テキストが、漢字を読めない人が中国語の発音で『阿弥陀経』を読誦するためのものであったことを指摘した。

 

 (4) 集団的写経実践

 フランス国立図書館蔵チベット文字敦煌写本Pt 564Pt 557Pt 563Pt 562Pt 561Pt 556Pt 96は、寸法や筆跡などが異なるにもかかわらず、内容は継続していて、一群として一つの書物を形作るものであると考えられる。当該写本群には、抜け落ちた箇所を書き加えた部分や、赤線を引いてある部分などがあり、抄写本であることがわかる。Silk氏は、これらの写本は元々一連のものであり、複数の写経者が各々の紙と筆を使用して制作した集団的写経実践の産物であろうと指摘した。

 

 以上、敦煌写本中の主にチベット文字で書写された仏教経論テキストの諸相を通して、810世紀頃の敦煌において、チベット語教育を受けた人々が、東側の仏教、すなわち中国仏教の影響を受けつつ、浄土的な信仰や実践を行っていたという一面が浮き彫りとなった。Silk氏の文献調査によって、敦煌写本にはいわゆる浄土的な信仰の側面が反映されていることが解明された。

 

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学術講演会   

 

A Window into Sino-Tibetan Pure Land Practices at Duhuang

(敦煌における中国・浄土教研究のために)

 

Jonathan Silk(オランダ・ライデン大学 教授)

 


 

 

開会挨拶・司会  若 原   雄 昭

(龍谷大学 教授、世界仏教文化研究センター 古典籍・大蔵経総合研究班長)

 

 

開催日時     2019年05月22日(水)13:15~14:45

開催場所     龍谷大学 大宮学舎 西黌2階 大会議室

 

※一般来聴歓迎。お気軽にお越しください。

 

 

 

 

主催
龍谷大学 世界仏教文化研究センター(RCWBC)、アジア仏教文化研究センター(BARC)
共催
龍谷学会
ポスター
学術講演会「A Window into Sino-Tibetan Pure Land Practices at Duhuang」