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Research Center for World Buddhist Cultures

世界仏教文化研究センター

活動内容

【開催報告】2019年10月2日(水)公開研究会「日本中世における高麗義天版の受容と活用―華厳学文献を中心に―」を開催しました

開催日時
2019年10月2日(水)16:00~17:30
開催場所
龍谷大学 大宮学舎 西黌2階 大会議室
講演者

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2019年10月2日(水)、公開研究会「日本中世における高麗義天版の受容と活用―華厳学文献を中心に―」が開催された。講師の申回貞氏は、本学の世界仏教文化研究センターの嘱託研究員であり、韓国・東国大学校の講師も務めている。

 

申氏は、高麗の大覚国師義天(1055-1101)が作成した『圓宗文類』と『新編諸宗敎藏總錄』を対象にして、日本中世仏教において、彼の教蔵収集と刊行、流通がどのように受容され、活用されたのかを検討した。その際、『圓宗文類』の注釈書である『圓宗文類集解』も併せて考察された。

 

一般的に義天が『新編諸宗敎藏總錄(義天板教蔵)』や『圓宗文類』を作成した背景には、中国五代の戦乱によって失われた古今の仏書典籍が流通できない状況下で、仏法衰頽への懸念があったとされ、こうした義天の護法意識が古今諸家の章疏を収集し刊行させたといわれる。しかし申氏は、上記の事情に加えて、東アジアの大乗仏教文化圏における教理大系の構築に関する問題関心があったと指摘した。

 

申氏が着目したのは、「義天板教蔵」の刊行をきっかけに、すでに東アジア全域に請来していた澄観(738-839)の『華厳経疏』『華厳経随疏演義抄』が再び注目を集めたことである。注釈書『圓宗文類集解』を参照すると、『圓宗文類』には法蔵『華厳経探玄記』が集約されており、その『探玄記』の設問に対して、法蔵と澄観の説示を照合しながら応答している様子が見られ、そのうえで、華厳の教理が思想的に整理されているという。こうした点から、義天の著作が当時の宗学研究において教理大系と思想を構築する重要な情報を提供していたと考えられる。そのため、義天が二つの著作を作成した背景に東アジアの大乗仏教文化圏からの要請があったのではないかと推察された。

 

また、中世日本仏教においても、義天の著作が遼代密教の思想的限界を克服するために活用されていること指摘された。中世日本仏教では顕密融合の理論的体系を完成するために、兼学のテキストが必要であり、こうした点は遼代の密教文献では十分ではなかった。そのなかで、『圓宗文類集解』を確認すれば、義天の著作にはそうした問題へ対応可能な側面があったため、日本仏教において広く受容され、影響を与えた。申氏によれば、特に日本中世仏教の特徴である「本覚思想」が、『圓宗文類集解』において確認できるという。だが、その具体的な影響に関しては今後の課題であると述べられた。

 

当日は、コメンテーターの横内裕人氏(京都府立大学教授)より、申氏の研究の可能性についてコメントがなされた。横内氏によると、11~12世紀末における日本仏教界は、大陸より文献が数多く輸入をされていたが、現在活字になっている状況証拠からは十分な影響が確認できないという。そのなかで、『圓宗文類集解』の教理内容から、教学的なつながりに注目した申氏に対し、それを裏付けるような資料調査やそれに基づく研究の進展が期待された。

 

講師の申回貞氏

 

司会の野呂氏(左)
コメンテーターの横内氏(右)

会場の様子

公開研究会

日本中世における高麗義天版の受容と活用

―華厳学文献を中心に―

申   回   貞(SHIN Hoijung)

(韓国・東国大学校講師、龍谷大学世界仏教文化研究センター嘱託研究員)

 

 

コメンテーター  横 内  裕 人(京都府立大学 教授)

司     会  野 呂 靖   (龍谷大学 准教授)

 

開 催 日 時  2019年10月2日(水)16:00~17:30

開 催 場 所  龍谷大学 大宮学舎 西黌2階 大会議室

 

 

※日本語で行われます。申し込み不要、一般来聴歓迎。

 

 

 

 

主催
龍谷大学世界仏教文化研究センター(RCWBC)古典籍・大蔵経総合研究班 大蔵経研究プロジェクト
ポスター
公開研究会「日本中世における高麗義天版の受容と活用―華厳学文献を中心に―」