基礎研究部門 特定公募研究
【大瀛『横超直道金剛錍』の研究】
基礎研究部門
特定公募研究(共同)
The Study of the “Ocho jikido kon-go-hei” by Daiei
2023年度~2024年度
研究代表者
殿内 恒 (文学部教授)
共同研究者
井上 善幸(文学部教授)
井上 見淳(社会学部教授)
能美 潤史(法学部准教授)
リュウシュ・マルクス(京都女子大学講師)
堀 祐彰(龍谷大学非常勤講師)
三浦 真証(龍谷大学非常勤講師)
北岑 大至(龍谷大学非常勤講師)
西村 慶哉(龍谷大学世界仏教文化研究センター博士研究員)
研究種別
共同研究
概要
本研究は、近世の教団史の中でもとりわけ教団全体を巻き込み、教団史上最大の法論に位置付けられる「三業惑乱」を研究対象とするものであり、わけても、この論争に終止符を打ったと評される大瀛(1759-1804)の『横超直道金剛錍』(1801刊)の研究を進めることを目的としている。研究方法としては、本書の諸異本の中の善本を用いてその本文を読解し、現代語の試訳の作成ならびにその内容の註釈的研究を行い、本書における論点の整理、問題点の抽出を行う。また、2018年度〜2019年度及び2020年度〜2022年度まで、既に本研究センターの特定公募研究として『横超直道金剛錍』の研究を継続しており、その成果として、『横超直道金剛錍』の翻刻と現代語訳を中心とする研究叢書を2023年度中(2024年2月)に発刊予定である。これまでに『横超直道金剛錍』の翻刻・現代語訳が刊行されたことはなく、本研究の意義は非常に大きいといえる。
しかしながら、発刊予定の叢書は『横超直道金剛錍』の翻刻・現代語訳としては、いまだ全体の2割程度であることから、続巻の刊行のため、今後も本研究を継続する必要がある。
【モンゴル帝国時代の仏教寺院「釈迦院」の総合的研究】
基礎研究部門
特定公募研究(共同)
A Comprehensive Study of the Buddhist temple “Shakain(釈迦院)“ in the Mongol Empire Era
2023年度~2024年度
研究代表者
村岡 倫(文学部教授)
共同研究員
藤原 崇人(文学部准教授)
中田 裕子(農学部准教授)
浜中 沙椰(早稲田大学助教)
旗手 瞳(龍谷大学日本学術振興会特別研究員PD)
研究種別
共同研究
概要
「釈迦院」とは、モンゴル帝国時代の1250年代に、チンギス・カン家と密接な婚姻関係を結んだ部族であったオイラト部族が建立した仏教寺院であった。釈迦院が造営された地はモンゴル高原の北方に位置し、シベリア、ロシア方面へ通じる交通の要衝である。モンゴルがまだ仏教を信仰していないその時期に、なぜこの地に仏教寺院が建立されたのか。それは、仏教を信仰する民族のために建立されたと考えてよいだろう。交通の要衝であったこの地は民族融合の場でもあったと言える。本研究では、そのような観点から、釈迦院建立の意義を、発掘調査による出土物などの分析、関連文献資料との対照など、総合的に研究を進めるものである。仏教寺院である釈迦院を通じて、この地を往来する多様な人々がどのような文化交流を行ったのか、その諸相を解明する。
【仏伝図と本生図の諸相 -多田等観将来「釈迦牟尼世尊絵伝」を中心に-】
基礎研究部門
特定公募研究(共同)
A Study of Various Aspects of Biography of the Buddha and Buddha’s Previous Lives:
About “Shakuson Eden”, a Tibetan Illustrated Biography of the Buddha Śākyamuni
in Tohkan TADA’s collection
2024年度~2025年度
研究代表者
岩田 朋子(龍谷ミュージアム教授)
共同研究者
能仁 正顕(文学部教授)
岡本 健資(政策学部教授)
宮治 昭(龍谷大学世界仏教文化研究センター研究フェロー)
丹村 祥子(龍谷ミュージアムPJ研究員/大阪大学大学院(特任研究員)/相愛大学非常勤講師)
赤羽奈津子(龍谷大学非常勤講師)
天野 信(龍谷大学非常勤講師)
研究種別
共同研究
概要
本研究は、西本願寺僧の多田等観(1890-1967)のもとに、1937年、ダライラマ13世の遺言に従い贈られた仏伝図「釈迦牟尼世尊絵伝」(以下、「釈迦絵伝」)について、既に収集した諸資料の検討及び、追加の関連資料収集、そして、関連が新たに明らかとなった複数の仏伝図について、基礎調査と情報収集並びに検討を行うものである。
多田等観は、学術調査隊「大谷探検隊」の一翼として、1912年に西本願寺第22世宗主の大谷光瑞師の命により、チベットの仏教文化を学ぶため、現地へ留学僧として派遣された。1923年3月に帰国するまでおよそ10年間、インド以来の部派仏教・大乗仏教双方の戒と律を受け継ぎ、正式なチベット仏教僧となり僧院生活を送りながら研鑽を積んだ。チベットにおける政治的宗教的最高指導者であったダライラマ13世から直接の教授を受け、帰国後、本学、東洋文庫をはじめ国内の諸学術研究機関と協力しつつ、将来したチベット大蔵経および仏教美術資料などの整理と研究、その成果公表につとめ、1960年に日本学士院賞を受賞している。
「釈尊絵伝」(綿布着色/花巻市博物館蔵)は、17世紀のチベットで制作されたと考えられる。釈尊の生涯が約120場面にわたって描かれた仏伝図であり、アジア全体でみても非常に大部であり稀有な仏伝図である、しかし、現状、その認知度は国内においてすら低く(実際、コロナ禍直前に国際研究会「日本チベット学会」で本図を取り上げた際にも驚嘆の反応が多くみられた)、研究は未だ途上にある。本研究は対象の中心に本図に置く。
さらに、これまで「仏伝図」の作例収集を進めるなかで、釈尊の過去世物語を描く「本生図」の事例も収集する機会を得た。今回の共同研究では、これら新出作例を含めてさらなる検討を進めたいと考えている。あわせて、従来行ってきた、未整理の東洋文庫所蔵多田等観資料(未発表の翻訳研究ノートなど)の調査・整理を継続して行うこととする。
【真宗聖教の文献学的研究―世親『無量寿経論』をモデルケースとして―】
基礎研究部門
特定公募研究(共同)
Philological Study of Sacred Shin Buddhist Texts: Vasubandhu’s Wuliangshoujing-lun as a Model Case.
2024年度~2025年度
研究代表者
内田 准心 (文学部准教授)
共同研究者
壬生 泰紀(文学部講師)
佐々木大悟(短期大学部准教授)
上野 隆平(龍谷大学非常勤講師)
辻本 俊郎(塾講師・大阪経済法科大学非常勤講師客員研究員)
高務 祐輝(龍谷大学非常勤講師)
都河 陽介(龍谷大学非常勤講師)
北山 祐誓(龍谷大学非常勤講師)
研究種別
共同研究
概要
本研究は、七祖聖教を中心とした浄土真宗の教理史における重要文献を対象として、精緻なテキストクリティークを施し、当該文献の形成された時点の歴史的視点を導入することで、より厳密な文献理解を目指すものである。そのために今回は、世親『無量寿経論』に焦点を当て、批判的校訂テキスト及びそれにもとづく訳註を作成する。それにより、世親『無量寿経論』、それを受けた曇鸞『往生論註』、さらには『教行信証』をはじめとする親鸞の著作群、それぞれの浄土教思想解明のための基礎資料を提示する。
【蓮如「御文章」の書誌学的研究 ~名塩本・林松院文庫本を中心として~】
基礎研究部門
特定公募研究(個人)
A Bibliographic Study on Gobunsho by Rennyo: Focusing on Najio’s Gobunsho and Rinshoin Bunko’s Gobunsho
2024年度
研究代表者
堀 祐彰(龍谷大学世界仏教文化研究センター研究員)
研究種別
個人研究
概要
本研究は、「名塩本」「林松院文庫本」を中心として蓮如の「御文章」の書誌学的研究を主とする。「名塩本」「林松院文庫本」は五帖八十通の「五帖御文章」だけでなく、「五帖御文章」に収まっていない「帖外御文章」をも含めた二百十数通の「御文章」が収録されている。「名塩本」「林松院文庫本」を精査して、両本の関係について明らかにしていく。さらには「五帖御文章」の成立過程についても考察していく。
【『心性罪福因縁集』の思想的研究】
基礎研究部門
特定公募研究(個人)
The Research on the Thought of “Shinshō zaifuku innenshū 心性罪福因縁集“
2024年度
研究代表者
崔 鵬偉(龍谷大学世界仏教文化研究センター博士研究員)
研究種別
個人研究
概要
本研究は、永明延寿仮託の仏教説話集『心性罪福因縁集』に対する訳註作業を通じて、語彙表現や思想内容の特徴を分析し、その成書環境および思想的背景の究明を目指すものである。仏教説話集という位置づけから、文学的な考察はもとより、そこに含まれる説話的記述をそり落とした後の、いわゆる教理の部分は、どのような思想に基づくものなのか、またそれがどのような編纂意図によっているのかを明らかにした。
【大谷探検隊の基礎的研究-第三次隊員・吉川小一郎の新出資料から見えてくる事象-】
基礎研究部門
特定公募研究(個人)
Basic research on the Otani expedition -Events Revealed in the Newly Released Documents of Koichiro Yoshikawa, a member of the 3rd–
2024年度
研究代表者
和田 秀寿(龍谷ミュージアム 学芸員)
研究種別
個人研究
概要
大谷探検隊の全貌の究明は、収集資料を中心に分析が行われてきた。本研究は第三次調査に赴いた吉川小一郎の現地から送られた書簡類などの新出資料を分析し、『新西域記』等との比較研究を行い、当事業の全貌究明の一助となることを目的とする。