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【報告】研究セミナー「仏教少年教化の世界―パネル展示に寄せて―」【世界仏教文化研究センター 基礎研究部門】

2025.07.24

 龍谷大学世界仏教文化研究センター 基礎研究部門 仏教史・真宗史総合研究班(代表:中西直樹)主催の、パネル展示「仏教少年教化の世界」(2025年5月20日(水)~6月4日(水))が龍谷大学大宮学舎東黌1階ロビーにて開催された。また、2025年5月26日(月)には、パネルで紹介した近代における仏教少年教化の貴重な資料の原本を一部公開するとともに、中西直樹氏(龍谷大学教授)による展示解説を主旨とする研究セミナーが行われた。

 中西氏によると、近代の仏教少年教化事業は、明治10年代におこった廃仏毀釈からの仏教復興の気運の高まりを受けて始められ、明治20年代におけるキリスト教の教勢拡大に対抗して「少年教会」として全国に広がった。明治30年代以降には、積極的にキリスト教の日曜学校の教材・経営方法を採用した「仏教日曜学校」が設立されるようになり、40年代からは、ハワイ・北米でのキリスト教の日曜学校を視察した開教使らが中心となり、教材開発・経営方法の改善が進められるようになった。

 さらに大正期に入ると、児童中心的な教育的風潮の勃興を受けて、仏教童話・日曜学校カード・紙芝居など、新たな教材が次々に作成され、口演童話・児童劇・ボーイスカウトなどの方式も採用されるようになった。また、昭和初年にかけて、少年教化のための雑誌も多数創刊されたという。

 研究セミナーでは、中西氏は長年にかけて蒐集した明治・大正・昭和期に出版された児童教育関連の刊行物の原本を陳列して参加者に時代背景を解説するとともに、真宗本願寺派本願寺学務部発行の大正12年度の「カード帖日記」や、当時の様々な日曜学校カードを復元複製して来場者に配布するなどして、関係資料の保存や仏教少年教化事業への関心を呼びかけた。