【報告】公開シンポジウム「世界で実践力を発揮している「お寺」」
2024.01.17
2023年12月14日(木)、龍谷大学大宮キャンパスにて公開シンポジウム「世界で実践力を発揮している「お寺」」が開催された。司会・進行は葛野洋明氏(龍谷大学大学院実践真宗学研究科教授)が担当した。本シンポジウムの概要は以下の通りである。
続いて、ブラジルで長期にわたって活躍している土井慶造氏(浄土真宗本願寺派南米教団ブラジリア本願寺開教使)から、南米仏教団とブラジリア本願寺の歴史が紹介された。北米と異なって終戦後に活動が始まった南米では、1970年代に日系社会を基盤として南米仏教団が最盛期を迎える。出稼ぎ移民によるブラジル日系社会の変化、日本からブラジルへの移民の歴史、ブラジリア本願寺の社会活動についても詳細に紹介された。また、土井氏はブラジリア本願寺が、文化活動のセンターとしても活動し、ポルトガル語による法話や対話形式の伝道の実践などにも心がけていると述べた。
第二部では、まず本学大学院生で真宗伝道学特殊研究(ハワイ研修)を受講した長岡阿衣璃氏(実践真宗学研究科1年次生)から、ハワイの仏教会の実践について、地域社会への積極的な関わりが認められることについて報告が行われた。次に同じく大学院生の橋本顕正氏(実践真宗学研究科3年次生)からは、カナダ留学での経験を踏まえ、僧侶が地域社会に積極的に参加することの重要性が強調された。
こうした北米、南米、ハワイ、カナダにおける仏教団体の活動を踏まえ、最後に葛野氏、ワンドラ氏、土井氏に清岡隆文氏(元龍谷大学大学院実践真宗学研究科教授、本願寺布教使)を招いてのディスカッションが行われた。そこでは、世界の様々な地域において遂行されている仏教活動と適応能力が求められること、仏教の教えを現代社会に適合させるための伝道活動のあり方などが議論された。パネルディスカッションのまとめとして、清岡氏は、一度きりの人生を究極的に悔いなく安らかに充実して終わっていく、その究極は南無阿弥陀仏であり、それをいかに一人一人が自分のものとして受け入れていくかということに関わる大きな使命がお寺にあると思う、と総括した。
本シンポジウムは終始にわたり広い見地から質疑や議論が交わされ、盛況のうちに終了を迎えた。