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【報告】「第13回 歎異抄ワークショップ」

2024.07.08

2024年6月28日(金)から30日(日)にかけて、龍谷大学大宮キャンパスを会場に第13回『歎異抄』注釈ワークショップが開催された。本ワークショップは、学術交流協定を結ぶ龍谷大学世界仏教文化研究センター、大谷大学真宗総合研究所、米国カリフォルニア大学バークレー校東アジア研究所の三研究機関が主催するもので、今回で13回目となる。

寿国班の様子

 この度は円智『歎異抄私記』(1662年)・寿国『歎異抄可笑記』(1740年)・香月院深励『歎異抄講義』(1801-8年)という三つのテキストごとに班にわかれ、各註釈書の精読と議論を経た上で、原文の英訳作業が行われた。今回は第十五条と第十六条を中心に註釈箇所の英訳が行われた。出席者は三日間にわたり、各翻訳グループの部屋を移動しながら、異なる註釈内容を学ぶとともにその英訳作業のプロセスに参加した。

ヨコヤマ氏

 開催中の二日目の午前10:30からは、嵩 満也教授の司会・進行のもとで、ウェイン・シゲト・ヨコヤマ氏が「Re-examining Shinran’s words in Tannishō, 7:The one path unimpeded/mugéno ichidō」(『歎異抄』第七条における親鸞の言葉の再検討―無礙の一道を中心に」というテーマで講演した。ヨコヤマ氏は、特に「無礙の一道」という概念に焦点を当て、鈴木大拙など近代仏教研究者の解釈を紹介し、関係する文献についても詳しく説明した。講演後、参加者から数多くの質問がなされ、活発な質疑応答で終わりを迎えた。そして、当日の午後から、それぞれのグループは、継続して翻訳作業を行った。

深励班の様子

 最終日の午後は、各班のリーダーがそれぞれのテキストの主な議論の内容と特色について紹介し、翻訳の進捗状況について報告を行った。アメリカ(UCB、シカゴ大学大学院生)・カナダ(モントリオール大学)、香港、韓国・中国・日本などから多くの研究者が参集し、活発な議論が交わされた。なお次回のワークショップは2025年3月に、カリフォルニア州バークレー市の浄土真宗センターを会場として行われる予定である。

円智班の様子