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【報告】講演会「国文学研究資料館における古典籍のデジタル化と公開—大規模フロンティア事業の達成と展望—」

2023.08.30

 2023年8月29日(火)、入口敦志氏(国文学研究資料館 教授)をお招きし、学術講演会を開催した。講題は、「国文学研究資料館における古典籍のデジタル化と公開—大規模フロンティア事業の達成と展望—」。なお、この講演会は、当センター基礎研究部門 古典籍資料総合研究班の研究活動(「龍谷大学大宮図書館所蔵近世勧化本選集の作成をめざす研究」)の一環で、近年急速に変化しつつある研究環境の変化について正確な知見を得ることを目的とするものである。当日は、和田恭幸氏(龍谷大学文学部 教授)の司会のもと、講演に続き、活発な意見交換が行われた。

                       入口 敦志氏

 入口氏は、メディア転換の歴史から説き起こし、国文学研究資料館が推進する大規模フロンティア事業の目的と経緯、学術研究における意義について解説された。梗概は以下のとおりである。

 かつて、中国を中心とした東アジア漢字文化圏では、簡牘から紙へ(第1次)、写本から刊本へ(第1.5次)と、メディアの転換がおこった。そして、現今、私たちの生活環境でおこっている紙から電子データへの転換は、いわば第2次メディア転換に相当する。

 中国では、第1次メディア転換に際して、記録媒体が簡牘から紙へと単純に置き換わっただけでなく、国家による大規模な事業、すなわち類書や叢書、そして大蔵経の編纂が行われた。そして、現今の第2次メディア転換においては、「文淵閣四庫全書電子版」「中国基本古籍庫」など、全文検索機能が搭載された電子データベースが開発されるなど、素早い対応を講じることができた。

 一方、日本は第1次メディア転換を経験しておらず、国家による大規模な典籍の集積・編纂事業もほとんど行われてこなかった。それは現在日本の古典籍デジタル化への対応にも影響が及んでいる。

 さて、現在、日本国内では、国立国会図書館や早稲田大学などが、かなり早い時期から古典籍のデジタル画像公開を推進しており、利用する際の利便性もどんどん高まっている。また、画像公開については、国文学研究資料館もその一翼を担っているが、仏教関係典籍については、これからの課題となるもののようである。さらに、電子テキスト化については、欧米や中国に比べて大幅に遅れているといわざるをえない。日本語表記の複雑さなど、解決すべき様々な障壁があるものの、今後の大規模学術フロンティア事業において実現する必要がある。

 当日の講演では、国文学研究資料館が2014年度から2023年度にかけて実施してきた「日本語の歴史的典籍の国際共同ネットワーク構築計画」の内容・成果と波及効果、および後継計画を紹介し、講演を締めくくった。

                       講演会の様子